「会社を経営する」ことの基本は「会社が倒産しないようにする」ことだと私は考えています。
では会社はどうなったら倒産するのかと言えば、「払うべきおカネを払えなくなった」場合、会社は倒産します。会社は、従業員や取引先、さらには金融機関などに対して、おカネを払わなければいけないときがあります。この「おカネを払わないといけない」ときに、おカネがなくておカネが払えないと、会社は倒産するというわけです。
そこで、会社にとっては「いつでも払うべきおカネを持っている状態」が好ましいわけですが、会社がおカネを持つためには、何らかの商品やサービスをつくって売って、その対価を受け取る必要があります。ここで、会社が売る商品やサービスをつくるためには、商品やサービスをつくるのに必要な材料を買ったり労働したりそのための場所を確保する必要があり、これらを確保するためのおカネ=支出が生じます。
そして、単純に言えば、「会社が商品やサービスを売って得た対価=収入」が「商品やサービスをつくるのに支払ったおカネ=支出」より多ければ、その差分は「収益」となり、会社はおカネを持てます。逆に、支出が収入を上回れば、会社のおカネはなくなり、会社は潰れるということになります。
そうすると、会社経営のキホンは
「何らかの商品やサービスをつくって売って、売上=収入が経費=支出以上になるようにすること」
つまり、収入≧支出とすること
だと言え、実に単純なことであるようにも思えてしまいます。
実際には、「買ってもらえる商品やサービス」は時代や場所で変化しますし、同じ商品やサービスを提供し続ける場合でも、それらを提供するための条件(原料の価格や調達先、輸送コストなど)も変化します。
ですから、「会社を経営する」ためには、常に、「買ってもらえる商品やサービス」や「それらをつくって売って収益を売る仕組み」の変化を理解し、対応する必要があります。
すなわち企業は「環境を理解」し、「環境変化に対応」する必要があります。経営学でも環境の理解と環境変化への対応が大切だと説かれていますが、「いま、自社が置かれている環境」と、それとは全く異なる環境との「違い」は意識されておらず、あまり語られていないように感じています。
例えば、経営学において顧客獲得競争にはいくつかのスタイルがあることが指摘されているのですが、米国と日本とでは価値観(文化風土)やそれを反映した制度に違いがあるため、市場シェアの大きな独占企業になる戦略(IO型の競争戦略)の「利き方」が違う可能性があります。また市場の成長段階や企業の規模に応じて適切な事業戦略は異なります。しかし、国や地域ごとの文化風土の違いや、市場の成長段階や企業規模に応じてどのような事業戦略を採ることが好ましいかについてはあまり整理されていないため、こちらのフォーラムでそうした「違い」を意識した会社経営や事業戦略について検討していきたいと考えています。
※顧客競争の型や日本と米国におけるIO型の競争の「利き方」の違いは、こちらの記事をご覧ください。
2024/1/11記事掲載