タレント?の西野亮廣さんが20代の頃、「自分に対してアンチな人の割合は減らなくてもいい。自分を知る人を増やすことでファンの絶対数が増えればいい」と言っていた、という記事を目にしました。 この考え方は、より広い世界に向かうことでより多くの人と出会う「量的拡大」戦略で、知り合う人(人口)が増える、増やせる世界にはマッチするし、じっとしているより知らない土地に行きたい冒険家には合ってると思います。
一方で、知り合える人(人口)が増えない、増やせない状況では、アンチな人の割合を減らしてファンの割合を増やさない限りはファンの数は増えない。
作家のカズオ・イシグロさんが、世界中を飛び回っているインテリの人たちは、住んでいる地域は違っても価値観が同じ人たちとしか付き合っておらず、実は狭い世界で暮らしている、つまり地域を超えて似たような人たちと繋がっていく「横の旅行」をしているけれど、同じ通りに住んでいるのに違う”世界”で生きて感じ方が自分とは全然違う人たちと知り合う「縦の旅行」が必要かもね、と書いておられます。
西野さんの「戦略」はイシグロ氏が言う「横に旅行する」戦略で、領域を拡げて仲間の数を増やすこと、「ここではない別の世界」に挑むことはとても大事だし、価値あることだと思います。けれども、イシグロ氏が言う通り、狭い世界を縦に掘ることで「ここ」にあるけれど、これまで見えていなかった「別の世界」を探ることにもまた、冒険ではあるなと。
最近、マーケティングというか、ターゲット顧客というのを考えたりもするのだけれど、世界中にいる特定のターゲットに商品やサービスを知らしめる・届ける「グローバル」なやり方だけが正解ってわけじゃなくて、保護主義が進むかもしれないこれからは案外、小さな地域のあらゆる人に必要とされるような「本質的に求められている価値」を持つ商品やサービスを創り出せないかな、と考えていたりする今日この頃。