≪経営とは≫
会社は顧客に買ってもらえる商品やサービス(商材)をつくって売る事業組織です。別記事に書いた通り、会社を存続させるためには、商材をつくって売るためのコスト(支出)を商材を売ったことで得られる収益より少なくして、「支払うべきおカネ」が支払えるようにしておく必要があります。
「商材をつくって売って、支払うべきおカネが支払えるようにしておくこと」が会社の経営だといえます。
会社を経営すること=商材をつくって売って、支払うべきおカネが支払えるようにしておくこと、というと一見、簡単そうに思う方もおられるかもしれませんが、商材を売るためには①似たような商材との競争に負けずに「ちゃんと買ってもらえる」必要があります。また、②商顧客が必要とするとき商材を売るためには、顧客が必要とするとき(=需要に合わせて)商材をつくる「生産管理」や、③つくった商材を顧客に届ける販路の整備や管理も必要です。さらに、④「商材をつくって売って得たおカネ」と「商材をつくって売るのにかかったおカネ」を管理して「支払うべきおカネが支払えるようにしておく」ことも必要です。それから、⑤会社の活動が経済社会のルールや人倫に反さないようにすること(法令順守=コンプライアンス)も会社の経営に求められます。
≪会社の活動を研究する経営学≫
経営学では、会社を経営する上で必要な①~⑤といった会社の活動について、どういった活動の「型」があるのか、どういった「型」がどういった場合に上手くいったのかいかなかったか、それはなぜなのかといったことを研究しています。例えば、①の他社に負けない商材をつくることは「商品/事業開発」、他社の商材との競争に負けないようにしたりする活動は「市場(顧客獲得)競争」「マーケティング戦略」といったテーマで研究されています。②の生産管理や③の販路の整備や管理は「サプライチェーンマネジメント」「販売チャネル戦略」「事業組織(の構築・運営・管理)」というテーマで扱われます。④は「資本戦略」や「財務マネジメント」、⑤に関しては「リスクマネジメント」「情報戦略」「交渉戦略」といったテーマで研究がされています。
≪「経営学」はキライですか?≫
いま、私の周りにはご自身で「良い商材をつくって売って、支払うべきおカネが支払えるようにしている」、つまり、立派に経営されている方々がおられます。ところが彼らは経営学にはあまり関心を示されなかったりします。ご自身がちゃんと経営できていたり、経営学というと難しそうに感じられたりするためかもしれません。
上に書いた通り、経営学というのは、会社経営についてさまざまなやり方(型)を見出し、そうした「型」が功を奏したりそうしなかったりするメカニズム(経営理論)を説明してくれます。例えてみれば、さまざまな紐の結び方(=会社の事業活動のやり方)を研究して、「しっかりと結べてほどくときは簡単にほどける紐の結び方」にはどんな「結び方(型)」があるのか、その結び方がしっかり結べるのにほどくのは簡単なのかはなぜかを説明している、という感じでしょうか。
経営理論を学ぶ(知る)というのは、「しっかりと結べてほどくときは簡単にほどける紐の結び方」のパターンを学ぶ(知る)ようなものだと私は考えています。「しっかり結べて簡単に解ける紐の結び方」をいくつか知っていれば、知っていない場合に比べて、さまざまな場面や紐の種類に合わせて「しっかり結べて簡単にほどけるように紐を結ぶ」ことは簡単にできると私は思います。
ということで、私は経営学で見いだされたいろんな「結び方(経営理論)」を知りたいし、上手く使えるようになりたいと思っています。そこで、このフォーラムでは、さまざまな経営理論やそれをどのように使えるか、考えてみたいと思います。
なお、こちらのフォーラム記事は基本的に当社のクライアントさまや当社サービスのご利用をご検討くださる方々向けです。当社サービスをご利用いただく際、経営学の知見を共有できていると、クライアントさまの経営について多面的で深い議論がしやすくなると考えるためです。ただし私は経営学者ではありませんので、経営理論の解釈や説明を間違えることもあると思います。そうした間違いがある可能性も含めて、こちらの記事を読んで疑問を感じられたクライアントさまは、ご遠慮なくご質問いただければと思います。
2024/1/15記事掲載