野良育ちの野菜を「ジビエ野菜」と名付けたからには、ジビエ野菜とは何者かをご説明したく(笑)。まずは「ジビエ野菜」を語る前に、環境とか健康によさげな「有機野菜」「無農薬」「減・省農薬野菜」についてご説明します。
化学肥料や農薬を普通に使う農業は「慣行農業」と呼ばれます。この慣行農業より化学肥料や化学農薬を減らしていれば「環境保全型」農業となります。慣行農業では多くの化学肥料や農薬を使うことで自然環境を損なう場合があるため、世界的に環境保全型農業が推進されています。
「有機」や「無農薬」「減・省農薬」野菜は、農薬や化学肥料の使用を控えて栽培された野菜であり、すべて「環境保全型農業」で育てられた農産物になります。「環境保全型農業」の中でも「有機農業」は難易度が高く、有機農業を名乗るには①化学農薬、②化学肥料、③遺伝子組み換え技術不使用、という基準をクリアする必要があります。
一方、「無農薬」や「減農薬」「省農薬」の農産物は、「環境保全型農業」だけれど有機農業ほど厳しくない条件で栽培された農産物です。日本では、環境保全型農業として、慣行農業に対して化学品使用量を半分に減らした農業を「特別栽培」と定義し、土づくりを頑張りながら化学品の使用低減に取り組む「エコファーマー認定」制度があります。
平成28年の農林水産省資料によれば、全国の総農家数253万戸のうち、有機農業をしている農家は12,000戸で全体の0.5%程度です。環境保全型農業については20万戸ほど(特別栽培45,000戸、エコファーマー170,000戸)なので、全体の1割程度。つまり、全体の約9割は化学農薬や化学肥料を使う慣行農業をされています。
そういう状況の中で、ジビエ野菜は化学農薬は不使用、肥料については有機肥料を基本としつつも、有機か無機(化学品)かより「土に過剰に肥料を与えることなく、自然による土づくり」を促進するようにしています。
こういうと何やら小難しく聞こえますが、簡単に言うと、農地から出る雑草や農作物残渣をできるだけ土に還して土を肥やそうとしています😀
ということで、肥料は最小限しか与えず(買わず)、収穫残渣や刈り取った草は土壌の被覆材(マルチング材)として雨風に曝したのち、最後は土にすき込んでいきます。
土というのは、「鉱物の風化物」と「動植物(の分解物)」でできていて、動植物のからだには肥料になる成分がいろいろ含まれているので、農地で発生する農作物の残りや雑草を土に還すというのは自然界で起こる土づくりを促すことになる、という考えです。
農地で発生する草などを土に還せば、肥料や土壌の被覆材を買うお金を節約できますし、農業廃棄物も減らせます。自然界で分解されない物質を用いず、自然界の物質循環によって植物が必要とする養分が供給されるように”ゴミ”を活かし、ゴミをできるだけ出さずに、植物が野に育つ状態に近づけて育てた野菜。それが「ジビエ野菜」です。